女性エンジニアイベントを企画して考えた自分自身の話

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本エントリは「いきいき Advent Calendar 2021」の5日目の記事です。

adventar.org

@dora_e_mさんに「いつもいきいきと仕事をされていて、Women Developers Summitなど今の時代に必要な企画を立ち上げられて~」と言う感じで振っていただいたので、それに関する話を書いてみたいと思います。

今年はいきいきしていたかについては、振り返ってみると色々やっていたような気がするものの、体感的には、自分が普通の人になってしまったような、あまり変化を実感できないような、そんな1年だったかもしれません。

女性エンジニアにフォーカスしたイベントを企画した

そんな私ですが、今年は「Women Developers Summit」という、女性登壇者によるITエンジニア向けイベントを企画し、先月開催しました。ことの発端としては、私自身がIT業界におけるジェンダーギャップに対して強い課題意識を持ち、開催を強く提言し、主導してきた……と言えるとキレイなのですが、所属企業が主催するITエンジニア向けカンファレンス「Developers Summit」の新たな企画のアイデアの一つとしてあり、今回たまたま企画の実現可能性や、世の中的なニーズなどがうまくマッチして実現に至ったという感じです。テクノロジー系のメディアで女性がリーダーシップを取れているところはきっと少ないので「私が関与しているからこそ実現できるんだろうな」という自負はありましたが。

なぜ私がこのイベントをやるのか

さて、女性が主役のイベントを企画するなかで「なぜ私がこれをやるのか」と向き合うことも多くありました。女性という属性であり、女性エンジニアの知り合いも多く、女性に寄り添いやすいという点で、男性よりも企画がしやすい立場にありましたが、どうも女性らしい(?)悩みで特に悩んでこなかったのです。

コミュニティで出会うみなさんは仲良くしてくださったし、ハラスメント被害もほとんどなかったし、キャリアに関しては女性だからどうだということもなかったし、女性なのはむしろ目立って便利くらいに思っていました。

一方「女性のキャリア」というと、必ず結婚や出産などのライフステージの変化とセットになるので、経験のない自分が出る幕はないと思ったんですね。ちょうど1年前、こういうツイートをしていました。

最近は、女性の生き方全般の話では「結婚しない」「子供を持たない」などの多様な生き方が認められようとしているけど、自由でユニークな生き方という印象が強い。キャリア志向の女性だと「子供を生んでもキャリアを諦めない」という路線の生き方が強調され、そうじゃない人は、まぁ別に苦労しているわけじゃないんだからキャリアの指針とか求めるのも不相応なのかもと思ったり、子供とか関係ない一般的なキャリアの築き方を参考にすればいいんだろうがそれも男性が発信しているものが多いなと思ったり。そんな感じでモヤるところがあるのです。一時は「子供くらい育てていないと一人前のビジネスパーソンではないのでは」とか「子供のいない自分の発信は価値がないのでは」などと思うこともありました。

「普通に」つくったイベント

しかし、さまざまな意見を聞くことで、例えば「女性として別に困ってるわけじゃないけどWomen Developers Summitを応援します」という方、「結婚して子供がいるだけじゃないロールモデルが知りたい」という方など、女性というマイノリティのさらにマイノリティ側だと思っていた自分と近い意見の方もいることに気づきました。

自分自身はそこまで女性として困っていないし、女性代表みたいな顔もできないけど、だからこそ旗を振って場を作るエネルギーがあるし、さまざまな意見があるなかで「どんな場にしていくと、きっとよりよくなるだろう」と、一歩引いて考えることができる。企画者がワーキングマザーであるか否かは全く関係なく、最終的にこのイベントが開催されたこと自体が、多くの人にとって救いになったんじゃないかなと思います。

最終的にWomen Developers Summitは「普通のDevelopers Summitを企画するように」企画できてしまい、企画までに波乱万丈があったわけでもありません。ただそれは、自分たちがすでに持っている強みを生かして、いつもどおりいいものを作ったわけであり、それができたということは、「女性だから」がなくなる日は案外近いかもしれないと思えたのでした。