kondoyukoのカルチュラル・ハッカーズ

踊る編集者が日々のとりとめもないことについて思索を広げる空間

30代でようやく化粧を毎日するようになった理由

某ボツ原稿の供養のためのエントリです。ベースとした原稿はこちら。ちなみに写真は、内容に何も関係がない今日食べたハンバーグです。

「いや、ちょっと肌が弱くて……」

そう言って私はとある男性からの問いかけに口を濁していた。

5〜6年前、社会人になりたてのころだっただろうか。知人男性があるとき「近藤さんは化粧しないの?」と何気なく聞いたのだった。

化粧は、やり方もよくわからないし、面倒くさい割に、たいしてキレイになったとは思えない。化粧をしなくても、仕事で何の不都合もなかったので「まあいっか」とせずにいたのだ。

その後、彼からふたたび化粧についてどうこう言われるわけではなかったが、その時のことをふりかえって彼はこう言った。

「あのとき肌が弱いって言われたから、しょうがないなって。もうこれ以上化粧の話は振らないようにしようって思ったんだよ」

確かに私は肌が弱い。

でもそれは、私が化粧をしない本当の理由だったのだろうか――。

子どもの頃から、私はおしゃれに興味があった。小学生の頃からファッション誌を読んでいたが、当然メイクの話題も目にする。

「高校生になれば、大学生になれば、社会人になれば、いつか化粧をするのだろう、しなければならないのだろう」

容姿に自信はなかったが、なんとなく私はそう思っていた。小学生の時には、キラキラのアイシャドウを買ってもらい、学校につけていくと、同級生に「なんかキラキラしてね」と言われた。中学生のときも、高校生のときも、たまーにドラッグストアで化粧品やスキンケア用品を買っては試してみるのだけど、いまいちピンとこない。

大学生のときには、勇気を出してデパートのコスメカウンターに行った。

「ファンデーションが欲しいんですけど……」と伝えると、お店の人がファンデーションを選び、顔に塗ってくれた。

お店の人は「お顔のお色味が明るくなってますね〜」というものの、自分に施されているベースメイクは、顔のデコボコ具合を隠すどころか、余計に目立たせているようで、何が良くなったかよくわからなかった。「これが私の限界か」という気持ちだった。

「じゃあ、これください……」

と、私はキラキラのコンパクトに入ったファンデーションを買った。その後、そのファンデーションは2、3度使った記憶があるが、あとはどうしたか覚えていない。その後もたびたび化粧品を買うことがあったが、やはり日常的に化粧をすることは面倒で、化粧とは私にとって、結婚式に参加するときにかろうじてやるものになっていた。

そんな私の転機は、10kgのダイエットをして、5年やっていた歯科矯正が終わり、外見が自分の見た目に近づいたことにはじまる。

そうすると、自分に自信が持てるようになった。「自分を良くするための、何かをしたい」と思った。ダイエットのために、健康や筋肉や食事についての情報収集はしていたものの、それに比べてあまりに美容に関する情報を知らないということに気づき、SNSで「美容に関しておすすめの情報は知りませんか?」と聞いてみた。

すると、ある友人が「IPSA(イプサ)ってメーカー、おすすめだよ」と教えてくれた。「IPSAは、機械で肌を測定するから、自分にあった化粧品を教えてくれるの。きっと気に入ると思う」

そうして私は、デパートのコスメカウンターに再度挑戦するのである。

「できるだけ簡単な方法で……」と伝えてやってもらった方法は、少量の下地を塗り、刷毛でパウダーをはたくだけで完結した。軽いつけ心地で、これだけでいいのか不安になるほどだった。実際、自分でもあんまり良くなってないなと思いつつ、まあモノは試しと購入して、あらためてトイレの鏡で自分を見てみると、肌がキレイになっていたことに驚いた。コスメカウンターの鏡は、角度や照明の関係で少し微妙に見えていただけだった。

以前はつけ心地が悪く、肌もキレイになっているようには思えなかった化粧品は、10年の時を経て、商品開発力が進化し、私自身も大人になり、良い商品にコストをかけられるようになって、自分にとって「これはいいものだ」と思えるまでになった。

化粧をして会社に行ってみた。いきなり化粧をして行くと、会社の人から何か言われるのではないかとも思ったが、特に何も言われなかった(私が化粧をしようがしまいが、誰も気にしてないのである)。

さまざまな力を借りて、「自分はかわいいのでは?」という気持ちを獲得できるようになった私は、化粧をするだけで盛れるカメラアプリみたいに肌がキレイに見えるのがおもしろくて、毎日のように化粧をするようになった。

そんな日を送っていると、あることに気づいた。「以前は不細工な自分を化粧でなんとかするのがマナーだと思うと嫌すぎて99%やってなかったけど、かわいい自分がもっとかわいくなると思うと楽しくて毎日のようにしている」ということに。

「化粧をしなくてはならない」という、外圧に応えないとと思うと、なんだかやる気が起きなかったのが、自己肯定感を養って「もっとかわいくなりたい」と思うだけで、人間はこうも行動が変わるのだ。

今の私には、「肌が弱いから」とごまかす必要なんてない。

化粧をしてもいいし、しなくてもいいという自由がある。

「化粧の楽しさ」を知って、人生の自由度がさらに高まった。